大学院

研究室紹介(腫瘍薬物療法学分野)

腫瘍薬物療法学研究室の紹介

より効果の高いがん化学療法を、副作用はより軽く

2人に1人はがんを患い,がん患者の3人に2人はがんで死亡する時代になり,従来からのがん治療学に加え“がん生存学”という考え方も重要になってきております.わたしたちはより効果のある治療法と,より副作用を軽減できる治療法を確立すべく,研究に取り組んでおります.癌種によっては,抗がん薬の効果が得られない,副作用を強くひきおこしてしまう,あるいは使用できる薬物が制限されるケースなどがあります.私たちは,臨床薬学の観点に基づいた解決のため,臨床医との共同研究を精力的にすすめております.

研究活動(卒業生,社会人の臨床でも科学したい方,歓迎します.)

がん関連はもちろん,医療現場で働く薬剤師のちょっとした疑問点から出発する研究も多いです.臨床における『なぜ?』は非常に多く,研究によってその答えを出せたらと思い,学生も頑張っております.卒業生,社会人になっても,臨床でも科学をしてみたい方,ご連絡ください.

●がん化学療法におけるoncogeneと治療成績に関する研究 
●新規分子標的薬ALK阻害薬クリゾチニブの血中濃度測定と体内動態解析
●緩和医療におけるフェンタニルの血中濃度測定と血中濃度管理
●移植医療における免疫抑制剤療法の個別化
●シスプラチンの血中濃度測定
●デクスメデトミジンの測定と臨床応用
●トラマドールの光学異性体分離と臨床評価

腫瘍薬物療法学分野メンバー

suno2all須野 学
(准教授)

専門分野 臨床薬学

所属学会 日本薬学会、日本臨床薬理学会、日本医療薬学会、日本病院薬剤師会、米国臨床薬剤師会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本臨床精神神経薬理学会
認定 指導薬剤師、がん指導薬剤師(医療薬学会認定)

学生:博士前期課程1名、薬学科6年生3名、5年生4名、4年生2名

研究の様子

当分野は岡山大学鹿田キャンパス内にあり,岡山大学病院と連携 して研究を行っています.

v1患者様から頂いた血液サンプルを使って実験します.こちらは薬物の代謝に関わる遺伝子(CYP)の多型を調査しています. 血液の前処置をして電気泳動を行います.さらに現像して遺伝子多型を判定します.

v2液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析 法(LC-MS/MS)などを使って薬の定量も行っています.上図がLC部,下部がMS部となっています.LC-MS/MSではこのようなピークが得られます.患者さんの血液サンプルから薬物濃度を求めます.

8毎週セミナーを行い,研究室メンバーが実験,論文について発表を行っています. この日は,OBの黒田先生(H23卒)が薬局薬剤師の活動について講演に来てくれました.

 

薬学科学生の研究

副作用がほとんどないといわれる新しいタイプのがん治療薬もありますが,本当でしょうか?

v3私の研究では,新しいタイプのお薬についてLC-MSMSを使った分析方法を開発しました(図1).この方法を用いて,患者さんの血中薬物濃度を測定しました.患者さんの医療情報と照らし合わせて,効果や副作用との関係について研究を行いました.図2のように, このお薬の血中濃度(横軸,トラフ値)が高い患者さんでは,さまざまな副作用が生じる傾向にあるということを見出し,学会に報告しました.

本研究室では,実際に薬物を服用している患者さんの貴重な血液や細胞組織などを用いた研究ができます.この点は,本研究室ならではだと思っています.

(5回生,宮内)

医療に貢献できる臨床研究を

シスプラチンは多くのがん治療に用いられている抗がん薬ですが,その副作用のために治療ができなくなる患者さんもいます.副作用回避のためにはシスプラチンの血中濃度を把握しながら治療を進めることが望まれていますが,医療現場での測定は困難です.

私の研究では,原子吸光光度計を使用し,シスプラチンに含まれるプラチナを測定することで,体内の残っているシスプラチンを測定する方法を開発しました.

この測定法を使い,医療現場でシスプラチンの測定することができるようになれば,適切な副作用対策を医師に提案したり,医療に貢献できるのではないかと考えます.

(B6,浅野)

活動風景

ww日本薬学会(2013)横浜に参加しました.当研究室から学生2名(B4)がポスター発表を行いました.当日はたくさんの方々に発表に興味を持って頂き,たくさん質問をうけました.

 

研究成果

1. Levoleucovorin as replacement for leucovorin in cancer treatment. Chuang VT, Suno M.Ann. Pharmacother., 46(10):1349- 57 (2012).
2. Meloxicam ameliorates motor dysfunction and dopaminergic neurodegeneration by maintaining Akt-signaling in a mouse Parkinson’s disease model. Tasaki Y, Yamamoto J, Omura T, Sakaguchi T, Kimura N, Ohtaki K, Ono T, Suno M, Asari M, Ohkubo T, Noda T, Awaya T, Shimizu K, Matsubara K. Neurosci. Lett., 521, 15-19 (2012). 
3. Oxaliplatin-induced neurotoxicity involves TRPM8 in the mechanism of acute hypersensitivity to cold sensation. Kono T, Satomi M, Suno M, Kimura N, Yamazaki H, Furukawa H, Matsubara K. Brain Behav., 2, 68-73 (2012). 
4. Estimation of the duration after methamphetamine injection using a pharmacokinetic model in suspects who caused fatal traffic accidents. Matsubara K, Asari M, Suno M, Awaya T, Sugawara M, Omura T, Yamamoto J, Maseda C, Tasaki Y, Shiono H, Shimizu K. Leg. Med., 14, 191-196 (2012).
5. Cetuximab-induced hypomagnesaemia aggravates peripheral sensory neurotoxicity caused by oxaliplatin. Kono T, Ebisawa Y, Chisato N, Suno M, Furukawa H, Matsubara K.  J. Gastroint. Oncol.,1, 97-101, 2010
6. Topical Application of Hangeshashinto (TJ-14) in the Treatment of Chemotherapy-Induced Oral Mucositis.  Kono T, Chisato N, Ebisawa Y, Suno M, Matsubara K, Furukawa H.  World J. Oncol.,1, 232-235, 2010
7. Meloxicam protects cell damage from 1-methyl-4-phenyl pyridinium toxicity via the phosphatidylinositol 3-kinase/Akt pathway in human dopaminergic neuroblastoma SH-SY5Y cells.  Tasaki Y, Omura T, Suno M, Shimizu K, Matsubara K.  Brain Res.,1344, 25-33, 2010

フェンタニル血中濃度測定法の確立と血中濃度管理.日本薬学会第133年会,2013(横浜)
○遠藤 友理子,越智 榮子,浅野 匡彦,塩飽 力也,鍛冶園 誠,松永 尚,北村 佳久,千堂 年昭,須野 学
クリゾチニブ血清中濃度測定法の確立と臨床応用.日本薬学会第133年会,2013(横浜)
○宮内 成美,蔵田 靖子,青木 和葉,浅野 匡彦,塩飽 力也,北村 佳久,千堂 年昭,須野 学

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