最近もっとも感銘を受けた論文は…

最近もっとも感銘を受けた論文は、今月のNature Neuroscienceに掲載された本学の神谷先生らのグループの研究報告(Nat. Neurosci., 22, 1289-130s, 2019)です。報道等でご覧になった方もいらっしゃると思いますが、交感神経の刺激が、癌(がん)の増殖や転移、生命予後にまで影響を及ぼすメカニズムを個体レベルで解明された本当に素晴らしい研究成果で、患者の近親者や医療従事者による患者さんの不安やストレスなどの緩和や軽減を通じた「癒し」がいかに重要かを改めて認識しました。癌に留まらず生活習慣病の治療では、いかに患者さん自身を、明るく治療に前向きにするかが医療従事者に必要な能力であり、私自身今年から薬学部学生の教育で行動科学を取り入れてみたりしていますが、何人の学生さんに心のケアの重要性が理解されたでしょうか。先日、県薬剤師会の創立130周年記念講演で「人生の99%が不幸だとしても、最期の1%が幸せならば、その人の人生は幸せなものに変わる。」というマザー・テレサの言葉が取り上げられていましたので、私も改めて名言集を見てみましたが「大切なのはどれだけたくさんのことをしたかではなく、どれだけ心をこめたかです。」という言葉がとても心に響きました。

2019年08月30日