こんなことを研究しています

薬の効果は、体内の特定の部位に薬物分子が作用することによって発揮されます。したがって、薬物を投与した後の、薬物分子の体の中での動き(体内動態)が、その効果を左右する重要な因子となるわけです。ところが、薬物分子は、必ずしも我々が望んだ体内動態を示しません。問題となる薬物分子の体内での振る舞いを、以下に例示します。

口から服用するお薬:消化管粘膜を薬物が通り抜けて(吸収)、全身循環血へ到達する必要あり
ところが投与しても、

  • 消化管において溶けにくいため、消化管粘膜を通り抜けられない。→薬効が発現しない。
  • 消化管における溶解性は良いのだが、消化管粘膜を通り抜けられない。→薬効が発現しない。

血管内に直接投与するお薬:注射・点滴薬などが該当
ところが投与しても、

  • 作用発現部位に充分量の薬物が到達しない。→薬効が発現しない。
  • 作用する必要のない部位に薬物が到達する。→副作用が発現してしまう。

このように薬の体内動態次第では、その薬物の有する活性を充分に発揮することが出来ないどころか、場合によっては副作用が発現してしまうわけです。一方、皆さんが「薬」と呼んでいるものは、薬物分子を適切な形状(剤形)に加工した上で用いられるのが一般的であり、薬物分子をそのままの形で体に投与することは極めて稀です。

我々の研究室では、上述した薬物分子の振る舞いに関する諸問題を、薬物の投与方法あるいは投与剤形を工夫することによって解決することを目指し、日々研究を進めています。

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教員紹介

  • 檜垣 和孝/Kazutaka HIGAKI
    専門分野:生物薬剤学、消化管吸収、肝・腎消失動態解析
  • 丸山 正人/Masato MARUYAMA
    専門分野 薬剤学、ドラッグデリバリーシステム (DDS) 

受験生、在学生にひとこと

ここに記載しましたように、生体に投与された薬物が望ましい薬効を示すためには、その体内動態を適切に制御する必要があります。自らの手で薬物の体内動態特性を解析し、問題があれば、それらを適切な技術により改善する。このプロセスを通じて得られる「薬物投与の最適化」と「大きな喜び」を我々と分かち合いましょう。

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