納豆の健康効果について(1)

 最近テレビで「納豆の食べ方」に関する話題が出ていましたが、番組を見られた方はどうお感じになられましたか?ナットウキナーゼに試験管内で優れた血栓溶解機能があることは事実ですが、本酵素は分子量約30 kDaの蛋白質なので、口から摂取して本当に効くのか、また納豆に多く含まれるV.Kは逆に血液凝固因子の活性化に必要な物質なので血栓溶解と血液凝固とのバランスはどうなんだろう、と思われなかったでしょうか。そこで今回から1週間ごとに5回シリーズで、最近までの研究成果を基に考察したいと思います。お付き合いください。
 ナットウキナーゼ(第1回):まずナットウキナーゼを口から摂取して本当に効くのか、という点ですが、医療系の方は血栓溶解剤としてかつてよく使用されていたウロキナーゼ(分子量54 kDa)は注射薬で、経口薬がないので経口では効かないだろう、と考えるのではないでしょうか。この疑問に対し2009年のNutr Resには、台湾の健常者や患者45名を対象にオープン試験が行われており2,000 FU(FUはフィブリン分解ユニット)のナットウキナーゼの2か月服用でフィブリノーゲン、factor VII, VIIIの血漿中レベルが7~20%低下すると報告されています。また2015年のSci Repには、日本人を対象としたプラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験の結果が発表されています。これによると2,000 FUのナットウキナーゼ含有カプセルを単回投与した健常若年成人12名の採血結果では、抗凝固・フィブリン溶解を有意に亢進することが示されています。他の臨床研究でも4,000 FUを服用した健常者7名では対象者の殆どで血小板凝集抑制が確認されているようです。

2018年05月06日