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血圧高めの方への臨床研究開始しました

新型コロナウイルス感染症の感染拡大で、昨年は春から対面式の講義が出来ず、慌ててメディア授業の準備をしてなんとか1年間、感染学生を出すこともなく第3波を乗り越えたところですが、変異型ウイルスの出現によって地域によってはまた新たな感染の波が来そうな勢いです。打撃を受けたのは教育活動だけでなく研究活動も同じです。昨年1年間はブログを更新する気力も失せ(研究室旅行や懇親会も一切出来ず、集合写真すら取れませんから新たな研究室メンバーを迎えてもHPには名前しか掲載できない、という有様でした)、臨床研究を主たる研究方針としている当研究室の中でも、特に健常者や未病の方にご協力いただいている食後高血糖の抑制に関する介入研究は、殆んど進まないという状況が続きました。

 一方で、高血糖と並んで血管を傷つけ、脳心血管疾患の最大のリスク要因とも言われている高血圧についても、高血圧と診断される前から介入を行って長期にわたり高血圧症に移行させないで現状を維持する、あわよくば、正常血圧(上が120 mmHg未満かつ下が80 mmHg未満、家庭血圧では上が115 mmHg未満かつ下が75 mmHg未満)に引き戻すことができないか、との思いがあり、研究計画書の作成には長期間を要しましたが、ようやく2020年11月に研究倫理審査委員会の承認を頂くことができました。承認後もコロナ禍のため、研究にご参加いただける方を探し出すのには苦労していますが、そんな中でもご快諾いただける方もいらっしゃって、なんとかスタートすることができました。

 当研究室の食後高血糖の抑制に関する介入研究も、血圧高めの方に血圧抑制に関する介入研究も、殆んど家庭で行って頂けるものですので、血糖や血圧が気になる方で糖尿病や高血圧症と診断されてない方は、食事を中心とした生活習慣を見直す機会に使って頂けたら、と思っています。

2021年03月30日

Statistical significance よりも Clinical significance を

一緒に研究室を立ち上げてくれた6年生にはずっと言い続けてきたことがあります。一つ目は、集団に対して効くか効かないかには私はあまり興味はなく、目の前の人に効くか効かないのかを知りたいということ。二つ目は、P値にこだわってはいけない、ということです。これらは自分の臨床現場での拙い経験に基づく信念です。医療現場では、目の前の患者さんにとっては、今から使う薬が多くの人々(集団)に効くという事はどうでもよくて自分に効くか効かないかが知りたいし重要だからです。効くか効かないかの評価は、量的研究の世界では多くの場合統計学が用いられstatistical significance (統計学的有意性)の検定が行われます。例えば、予め決めておいた評価項目について、薬を使った集団と使わなかった集団を比較して、使った集団の方が評価項目のスコアや数値が概ね良ければ、その薬は有効である可能性があると判断します。しかし実際にはどちらの集団にも効いた人(薬を使わない集団で効くことをプラセボ効果といいます)と効かなかった人がいるため、確率論の世界になり、両者の評価項目に差がついたのはたまたま(偶然)なのか、そうではないのかを判断するために検定が使われ一般的にP<0.05だと有意な(偶然ではなく味のる)差であるとされます。昔から研究者は、自分の研究で P値が0.05未満になれば大喜びし、0.05以上になればがっかりするという傾向がありました。今年(2019)のNature 567巻305-7に「Retire statistical significance」と題するコメントが掲載されました。P<0.05か否かで全てを決めるのは危険、という内容です。2016年にもアメリカ統計協会から「P値や統計学的有意性は、効果の大きさや結果の重要性を意味しない」ことを明記した声明が出ています。私も岡大病院で頻繁に新薬説明会に立会っていますが、治験でstatistical significanceな結果が出たのはわかるが、その差は、果たして患者さんの症状を大きく改善したり、予後に影響する差、すなわちclinical significance(臨床的な意義)のあるものかを尋ねるようにしています。高額な医療費を支払い副作用も強く苦しむ可能性が高いのに臨床的効果が大きくなければ、患者さんは決してハッピーではないからです。

 先週19日に6年生の卒論発表会が終わりました(アルバムに様子を掲載)。研究の方法も一緒に考え、一から作ってきてくれた彼らがもうすぐ巣立っていくと思うと少し寂しい思いもありますが、当研究室から初めての卒業生となりますので嬉しく誇らしくもあります。上述した内容を含めてここで学んだことを社会に出て医療の現場で役立ててもらえたら主宰者として一番の喜びです。

2019年11月28日

最近もっとも感銘を受けた論文は…

最近もっとも感銘を受けた論文は、今月のNature Neuroscienceに掲載された本学の神谷先生らのグループの研究報告(Nat. Neurosci., 22, 1289-130s, 2019)です。報道等でご覧になった方もいらっしゃると思いますが、交感神経の刺激が、癌(がん)の増殖や転移、生命予後にまで影響を及ぼすメカニズムを個体レベルで解明された本当に素晴らしい研究成果で、患者の近親者や医療従事者による患者さんの不安やストレスなどの緩和や軽減を通じた「癒し」がいかに重要かを改めて認識しました。癌に留まらず生活習慣病の治療では、いかに患者さん自身を、明るく治療に前向きにするかが医療従事者に必要な能力であり、私自身今年から薬学部学生の教育で行動科学を取り入れてみたりしていますが、何人の学生さんに心のケアの重要性が理解されたでしょうか。先日、県薬剤師会の創立130周年記念講演で「人生の99%が不幸だとしても、最期の1%が幸せならば、その人の人生は幸せなものに変わる。」というマザー・テレサの言葉が取り上げられていましたので、私も改めて名言集を見てみましたが「大切なのはどれだけたくさんのことをしたかではなく、どれだけ心をこめたかです。」という言葉がとても心に響きました。

2019年08月30日

健康食品もあなどれない!?

ニュースにも書きましたが、岡山大学に着任してゼロから創めた”介入を伴う臨床研究”の結果が出始めました。一般の方々は、製造・販売企業、あるいは通販のホームページに記載されている口コミやTVコマーシャルを見て、”効くか効かないかわからない”まま半信半疑で購入して飲まれている方もいらっしゃるとは思いますが、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品などの保健機能食品やいわゆる健康食品など広義の健康食品は、研究者の間では「薬ではないので、安全性は高いけれど効果は期待すべきではない」との考え方が主流です。しかしふたを開けてみると「どうやら実際に効果が見える」食品もありそうだ、との結果が出始めており、自分でも少し驚いています。むろん、逆に期待していた効果が見えないものもありますし、効果が見えてもその人に合っているだけということかもしれませんので、まだまだ研究参加者を増やして確認しなければならないと思っています。

2019年08月01日

介入研究の難しさ

前回のニュースに書きましたが、現在、一般食品や健康食品による日常食事条件下での食後高血糖抑制効果に関する臨床研究を行っています。研究責任者である有吉も様々なところに出向いて、研究の説明をし、参加へのご協力のお願いをしていますが、興味はもって下さるものの、なかなか入って下さる方々が集まらず、介入研究の難しさを痛感しています。相変わらず研究費もなかなか採択されません。しかし、まだ限られた人数ではありますが、興味深いデータが出始めていますので、今年はじゃんじゃん学会発表していこうと思っています。ここまでついてきてくれた6年生にも感謝です。また、研究に参加された方から、有吉が全く知らなかったサプリメントを教えて頂けることもあり、なんと地元岡山で作られているものもあるようです。おそらくまだまだ宝は身近に埋まっているように思いますので、めげずに続けていこうと思っています。

2019年05月30日

ホームページのメンテナンス

研究室主宰者がなかなかホームページ(HP)をアップする余力がなく、随分ブログをサボってしまいました。HPを作製・管理しているノートPCを機器の制御用PCとして流用してしまったためで、HPのニュースやブログを書くには、居室から研究室に行って、機器から外して持って来なければならなくなり、終わった後は再び機器に繋いで接続テストを行わなければならないため、すっかりおっくうになっておりました。これではいかん!と思い直し、この度、研究室主宰者デスクのPCで更新を出来るように設定してみました。今書いているものが、無事アップできれば、今後はもう少し頻繁にアップして行きたいと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。

2019年03月05日

納豆の健康効果について(5)

ナットウキナーゼ(第5回):本シリーズ最終回は、V.Kを除去したサプリメントでナットウキナーゼを摂取するというのではなく、大部分の日本人がそうであろうと思われるV.Kを多く含んだままの「納豆」という食品の形で食べた場合、血栓が関係する心血管疾患(CVD)が減るのか、という最も知りたい話題について見てみたいと思います。それには疫学研究の結果が参考になります。

 2017年のAm J Clin Nutrに岐阜県高山市で行われた疫学研究の結果が報告されています。高山研究は1992年に始まった35歳以上の方を対象に追跡した3万人規模の研究で、調査期間内に1,678名のCVDによる死亡(うち脳卒中677名と虚血性心疾患308名を含む)があったそうです。解析の結果、納豆を最も多く摂取していた群は、最も少なく摂取していた群に比べて25%のCVD死のリスク低下があり、特に男性の脳梗塞では33%のリスク低下であったと報告されています。むろん研究開始当時の食生活を16年間継続していたことが前提ですし、疫学研究宜しく納豆以外の大豆食品の影響も否定することはできないと研究者らは述べています。私見ですが、納豆を最も多く摂取していた群は、最も少なく摂取していた群に比べて女性の割合が有意に高く、そのためか現在の喫煙者やアルコール摂取量が有意に少ないこと、逆に多価不飽和脂肪酸の摂取量や野菜の摂取量が有意に高いことなどは、統計の専門家からは怒られてしまうかもしれませんが、多変量解析がなされているとはいえ本当に結果に影響していないのだろうかという点が多少気になるところではあります。また、納豆を最も多く摂取していた群が平均どのくらいの納豆を摂取していたかについては、熱量で調整されているため本論文からは容易に読み取ることができない点も少し残念です。

2018年06月01日

納豆の健康効果について(4)

ナットウキナーゼ(第4回):ナットウキナーゼには実は、血圧降下作用も知られています。

 2008年のHypertens Resには、血圧が高い韓国人成人86名でプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験が行われた結果が報告されています。2,000 FUのナットウキナーゼ含有カプセルの8週間投与で収縮期・拡張期血圧(血圧の上と下)のいずれも有意に減少しています。2016年のIntegr Blood Press Controlでは、北米で行われたプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験の結果が報告されています。こちらも血圧が高い79名(米国在住54名、カナダ在住25名)の成人に同じ量のサプリを8週間投与しています。この研究は、2008年のアジア人の研究結果が再現できるか、他の人種でも調べた、という内容の研究ですので、試験デザインはほぼ同じです。その結果、拡張期血圧は有意に低下、収縮期も低下する傾向を認めましたが、興味深いことに男性では効果が高いのに対し、女性ではなぜか効果が低いという結果でした。残念ながら2008年の台湾人での研究では、男女別に解析されていないので、この血圧降下作用の性差については、アジア人ではわかりませんが、全体としてみれば臨床研究の結果から血圧降下作用もある程度期待できそうな感じです。血圧降下の機序について、2008年の臨床研究では、レニン活性の有意な低下を上げていますが、2011年のBiol Pharm Bullでは、高血圧モデルラットを用いた研究で、未消化のナットウキナーゼによる血漿フィブリノーゲン切断による血液粘度減少と、ナットウキナーゼの消化断片による血漿アンジオテンシンIIレベルの低下によるのではないかと考察されています。

2018年05月25日

納豆の健康効果について(3)

ナットウキナーゼ(第3回):今回は、第2回で横に置いておいたメカニズムに迫ります。

 かなり古い研究にはなりますが、1985年のJ Clin Investに興味深い論文が掲載されています。それは日本人健常者で行われた臨床研究で、プラセボ投与群やウロキナーゼ単回(1日)経口投与群の血清には殆ど認められない分子量約53 kDaのウロキナーゼ様蛋白質が、7日間連続でウロキナーゼを経口投与した群の血清中からは単離できるというのです。その蛋白質は抗体を固定化したアフィニティーカラムで精製されており、生化学的にも免疫学的にもウロキナーゼ蛋白質で間違いはなさそうです。ただし活性は非常に弱いという特徴がありその理由は明らかではありません。研究者らは血液中のウロキナーゼ様蛋白質の多くは消化管から吸収されたもの、とは考えておらず、一部吸収されたウロキナーゼが、肝臓や血管内皮でのウロキナーゼの合成や循環血中への遊離を促すのではないかと考えているようです。そもそもウロキナーゼは、ウロという名前からわかるように、生体内で合成される抗血栓分子としてヒトの尿から発見された酵素蛋白質です。一方ナットウキナーゼに話を戻すと、これも古いのですが1995年のBiol Pharm Bullではラットに経口投与したナットウキナーゼは、消化管から吸収されると報告されています。ただ同じ研究者らが2011年のBiol Pharm Bullに発表している論文では、未消化で吸収されるナットウキナーゼに加えて、消化物として吸収されたペプチド断片等の薬理作用の可能性についても言及しています。ヒトで、経口投与したナットウキナーゼが消化管から吸収されて血液中で作用を発揮している、という明確な根拠は未だないと言えますが、どうして経口投与で効果があるのかは、実に興味深いところです。

2018年05月18日

納豆の健康効果について(2)

 ナットウキナーゼ(第2回):ナットウキナーゼは、蛋白質なので消化管で消化され体内(血液中)に吸収されないはずなのになぜ?というメカニズムの話は一先ず横に置いておくとして、ナットウキナーゼを口から(経口)摂取しても、どうやら抗血栓効果がありそうなことが臨床研究で明らかになっていることは前回記述したとおりです。                                            

 次は量の問題を考えてみたいと思います。2009年、2015年の臨床研究で用いられた2,000 FUは、納豆70~100 gに相当する量とされています。市販の納豆は1パック40~50 gなので、最低でも1回に2パックは食べないと臨床研究に使用されたと同程度のナットウキナーゼは摂取できませんが番組ではそのような説明はありませんでした。またV.Kの血液凝固への役割にも触れられず、ひきわり納豆の方がV.Kが多いので骨粗鬆症の予防には良いとのお話でした。ちなみに2001年のNutrition誌には納豆摂取量と日本人女性の股関節骨折リスクの関係をみた研究結果が掲載されています。これによると、納豆をよく食べる東日本の女性は、あまり食べない西日本の女性よりも血中V.K2濃度(納豆の摂取量に依存して高くなる)がかなり高く45都道府県では、家庭あたりの納豆への支出が少ない県ほど股関節骨折が多く、支出の多い県ほど少ないという逆相関関係がみられるそうです。V.K欠乏症は、正常な血液凝固が障害され出血傾向になりますが、過剰摂取しても血液が固まり易くなるとは考えられていません。ただ近年V.Kには血液凝固や骨代謝以外にも様々な有益な機能があることが分かってきています。注意すべき点は、2015年の研究などで使用されるナットウキナーゼはV.Kを除去した製品(納豆を食べられない血栓防止薬ワルファリンを飲んでいる人でも飲めるようにとの配慮と思われます)ですから、納豆をそのまま食べるのとは健康効果が異なると考えられます。

2018年05月13日

納豆の健康効果について(1)

 最近テレビで「納豆の食べ方」に関する話題が出ていましたが、番組を見られた方はどうお感じになられましたか?ナットウキナーゼに試験管内で優れた血栓溶解機能があることは事実ですが、本酵素は分子量約30 kDaの蛋白質なので、口から摂取して本当に効くのか、また納豆に多く含まれるV.Kは逆に血液凝固因子の活性化に必要な物質なので血栓溶解と血液凝固とのバランスはどうなんだろう、と思われなかったでしょうか。そこで今回から1週間ごとに5回シリーズで、最近までの研究成果を基に考察したいと思います。お付き合いください。
 ナットウキナーゼ(第1回):まずナットウキナーゼを口から摂取して本当に効くのか、という点ですが、医療系の方は血栓溶解剤としてかつてよく使用されていたウロキナーゼ(分子量54 kDa)は注射薬で、経口薬がないので経口では効かないだろう、と考えるのではないでしょうか。この疑問に対し2009年のNutr Resには、台湾の健常者や患者45名を対象にオープン試験が行われており2,000 FU(FUはフィブリン分解ユニット)のナットウキナーゼの2か月服用でフィブリノーゲン、factor VII, VIIIの血漿中レベルが7~20%低下すると報告されています。また2015年のSci Repには、日本人を対象としたプラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験の結果が発表されています。これによると2,000 FUのナットウキナーゼ含有カプセルを単回投与した健常若年成人12名の採血結果では、抗凝固・フィブリン溶解を有意に亢進することが示されています。他の臨床研究でも4,000 FUを服用した健常者7名では対象者の殆どで血小板凝集抑制が確認されているようです。

2018年05月06日

魚油は一度心血管疾患を起こした人の重大な心血管イベントを抑制できるか?

ご存知のように青魚のω3系脂肪酸は、中性脂肪やLDLコレステロールを下げ、1999年のLancetでは無作為化比較試験の結果、3か月以内に心筋梗塞を起こした患者のその後3.5年間の死亡リスクを20%程度有意に低下させると報告され注目されていました。ところが最近のJAMA Cardiologyにオックスフォード大のグループから10個の無作為化比較試験のメタ解析の論文が発表され、魚油サプリを使用した群では、使わなかった群に比べて冠動脈疾患による死亡リスクは7%低かったものの統計学的には有意でないと報告されました。もしもあなたが心筋梗塞の再発リスクを抱えている場合どうしますか?

2018年04月11日

岡山県の平均寿命は…

12月13日にあった厚生労働省の発表をご覧になられましたでしょうか。平成27年度の岡山県の平均寿命(0歳の平均余命)は、男性81.03歳、女性87.67歳でいずれも全国平均(男性80.77歳、女性87.01歳)よりも長く、男性は11位、女性はほぼ同率でしたが長野県についで2位でした。男性のトップは平成2年から首位を守り続けてきた長野県に代わり滋賀県となりました。長野県が男女ともに長寿なのは、県の取り組みによる県民の健康への意識が高く、高齢者の就業率が高いなどと言われていますが、私が注目したのは滋賀県です。昭和40年には27位だったのが、昭和50年には22位、昭和60年には11位、平成12年には6位、そして平成17年からは2位でしたが、平成27年でついに首位に躍り出ています。その躍進の秘訣はいったい何でしょうか?どなたがご存知でしたら是非ご一報ください。

2017年12月15日

食後に血糖値を上げないために良い運動のタイミングは? (続き)

お待たせしました。前回の答えですが、1日に渡ってちょこちょこ運動、が正解でした。この研究で、食前あるいは食後の運動とは、毎食前あるいは食後30分に1分間のジョギングと30秒の休憩を20セット行う群で、1日に渡ってちょこちょこ運動は、1日に渡って30分間毎に同じ運動と休憩を3セット行い、これを1日の中で20回行う(運動の総時間は同じ)を比較しています。この研究では特に朝食後の血糖ピーク値の上昇が有意に抑えられました。興味がある方は J Appl Physiol, 123: 278-284 (2017)をお読みください。ちょっと研究デザインは違いますが、類似の結果が2013年のAm J Clin Nutr誌で、海外からも報告されています。こちらは 1) 9 hr座り続ける(トイレだけはOK)、2) 朝30分間歩行し残り8.5 hr座り続ける、3) 30分毎に席を立ち1分40秒の歩行を18回行う、という群の比較で、食事は9時間の間に3回、液体のものを摂っています。こちらも 1)と2)の血糖値はほぼ同じで3)の勝利でした。2)の朝30分間の歩行と残り8.5 hrのデスクワークって、いかにも会社員にありそうなシチュエーションです。

2017年12月06日

食後に血糖値を上げないために良い運動のタイミングは?

今年のJ Appl Physiol誌に面白い論文が出ています。日本人若年健常者における臨床試験の結果ですが、これまでに言われてきた食後に運動(本HPの研究内容にも書いていますが)とは異なる結果が出ています。では、食前の運動?それとも1日に渡ってちょこちょこ運動?のどちらだと思いますか?結果は、次回のブログで。

2017年11月29日

薬剤師によるモニタリングは予防に大きく貢献できると感じました

11月18日(土)に文科省の高度先導的薬剤師養成プログラム事業の支援を受けて、公開講演会「検体測定は地域住民を救い、薬剤師も救う!」を開催しました。ガイドラインに記載されているように検体測定室で行える測定項目は8項目ですが、中でも直近数か月の血糖値を反映するHbA1cの定期的モニタリングは糖尿病の発症予防に極めて重要と改めて感じました。また受検者が穿刺して検体を採取することなく”非侵襲”で行える様々な生体モニタリングの疾患予防における大きな可能性を学ぶことができ、薬剤師を目指す学生や現役の薬剤師の方に大変有意義な講演会でした。

2017年11月21日

機能性表示食品初の措置命令(行政処分)について

11月7日~8日のニュースをご覧になったと思いますが、科学的根拠がないにも関わらず飲めば簡単に痩せられるかのように誇大広告した16社に対し、消費者庁から措置命令が下されました。ご存知と思いますが、機能性表示食品制度は、一定の科学的根拠を基に”企業の責任で”包装に機能性を表示できるものとして平成27年4月に始まった制度です。したがって機能性表示食品は、トクホなど国が有効性や安全性を個別に審査し許可した食品ではありません。企業のモラルも問われますが、原則消費者の選択に任せられています。しかし消費者庁が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求め、提出された資料はいずれ(1社でなく16社)も根拠が認められなかったというのはいかがなものでしょうか。

2017年11月09日

医療薬学会でAIに関する驚くべき現状を知りました

11月3-5日に千葉の幕張メッセで開催された第27回 日本医療薬学会年会に参加し、3日目朝の特別企画シンポジウム3 「人工知能(AI)が変える医療と創薬の未来」で座長を務めてきましたが、人工知能(Artificial Intelligence)の医療分野での応用がどこまで進んでいるのか理解することができました。AIの進歩・利活用により薬剤師の仕事をどう変えていく必要があるかという問題だけでなく、薬物治療のターゲット分子探索から、それに作用する医薬品候補化合物の設計、化学構造修飾、活性のシミュレーションなど基礎系の研究者の仕事も大きく変えていかざるを得ない近未来を目の当たりにしました。

2017年11月07日

念のため

前回、自己血糖測定(SMBG)の値で正常型と書きましたが厳密には静脈採血の値で判断すべきです。食後は静脈血と指先の血糖値には大きな乖離がありますが、空腹時は大差ないとの前提で簡易スクリーニングとして行っています。念のために説明しました。

2017年10月24日

今朝の血糖値

臨床研究がはじまると、応募者の方が研究対象者として適格か否かを確認させていただくため自己血糖モニタリング装置(SMBG)などの機器を用います。このところ毎朝自分の空腹時血糖値を見てますが、今朝は3台で測定して86-94の範囲でした。まだ正常型のようです…。

2017年10月19日

身体に必要なものでも多すぎてはダメ?

ニュースでご覧になったと思いますが、身体に欠かせない微量元素を補う注射薬に通常の700倍以上の濃度のセレン(Se)が含まれており、その製剤を投与した患者さんが急変して亡くなられました。直接の死因に繋がったかは調査中ですが、身体に必要な成分であっても量には注意が必要です。

2017年10月04日

特定保健用食品でも自分に合ったものを!

先週の新聞等でご覧になった方もいらっしゃると思いますが、特定保健用食品(トクホ)を含む健康食品でも重い肝障害などを引き起こす場合があるため国民生活センターが注意を呼びかけています。あくまで食品の問題ではなく、体質の問題とのことですが、くすりと一緒で自分の体質にあった健康食品を選ぶことが大事です。

2017年08月21日

締めのラーメンでは血糖値は上がらない?

前回のアルコールとの関連ですが、お酒を飲んだ後に豚骨ラーメンを食べグルコース値の変動を観察しましたが殆ど上がりません。替え玉しても上がりませんし、再現性があります。ネットではアルコール分解に糖が使われ血糖が下がるので、ラーメンを食べたくなるのは道理にかなっていると実しやかに書かれていますが、機序は置いておいて現象としては面白いと思います。

2017年05月19日

アルコール飲料は血糖値を下げる?

糖尿病患者と健常者の違いなのかもしれませんが、一般向けの本には、焼酎などの蒸留酒と異なり、ビールのような醸造酒は血糖値を上げるので避けるべきと書かれることが多いように思います。でも主宰者の経験では、ビールでも飲んだ後は明らかに下がるように思います。今回の花見でもそうでした。Brand-Millerらも同様な報告をしていますので、糖尿病を発症していない成人の方では、ビールに対してそれほど神経質になる必要はないかもしれません。

2017年04月11日

ブログにアップする情報について

これからブログにあげていく情報は、主宰者などが自らの経験で面白いと思ったことを自由に述べたものです。多くは数値データに基づくものですが、まだまだエビデンスと呼べる段階ではなく、また誰もが同じになるとは限りませんので、その点ご注意ください。

2017年04月06日

ブログを開始しました

これから研究室主宰者や、スタッフ、学生さんの経験などをアップしていきたいと思います。

2017年04月05日