納豆の健康効果について(2)

 ナットウキナーゼ(第2回):ナットウキナーゼは、蛋白質なので消化管で消化され体内(血液中)に吸収されないはずなのになぜ?というメカニズムの話は一先ず横に置いておくとして、ナットウキナーゼを口から(経口)摂取しても、どうやら抗血栓効果がありそうなことが臨床研究で明らかになっていることは前回記述したとおりです。                                            

 次は量の問題を考えてみたいと思います。2009年、2015年の臨床研究で用いられた2,000 FUは、納豆70~100 gに相当する量とされています。市販の納豆は1パック40~50 gなので、最低でも1回に2パックは食べないと臨床研究に使用されたと同程度のナットウキナーゼは摂取できませんが番組ではそのような説明はありませんでした。またV.Kの血液凝固への役割にも触れられず、ひきわり納豆の方がV.Kが多いので骨粗鬆症の予防には良いとのお話でした。ちなみに2001年のNutrition誌には納豆摂取量と日本人女性の股関節骨折リスクの関係をみた研究結果が掲載されています。これによると、納豆をよく食べる東日本の女性は、あまり食べない西日本の女性よりも血中V.K2濃度(納豆の摂取量に依存して高くなる)がかなり高く45都道府県では、家庭あたりの納豆への支出が少ない県ほど股関節骨折が多く、支出の多い県ほど少ないという逆相関関係がみられるそうです。V.K欠乏症は、正常な血液凝固が障害され出血傾向になりますが、過剰摂取しても血液が固まり易くなるとは考えられていません。ただ近年V.Kには血液凝固や骨代謝以外にも様々な有益な機能があることが分かってきています。注意すべき点は、2015年の研究などで使用されるナットウキナーゼはV.Kを除去した製品(納豆を食べられない血栓防止薬ワルファリンを飲んでいる人でも飲めるようにとの配慮と思われます)ですから、納豆をそのまま食べるのとは健康効果が異なると考えられます。

2018年05月13日