納豆の健康効果について(4)

ナットウキナーゼ(第4回):ナットウキナーゼには実は、血圧降下作用も知られています。

 2008年のHypertens Resには、血圧が高い韓国人成人86名でプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験が行われた結果が報告されています。2,000 FUのナットウキナーゼ含有カプセルの8週間投与で収縮期・拡張期血圧(血圧の上と下)のいずれも有意に減少しています。2016年のIntegr Blood Press Controlでは、北米で行われたプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験の結果が報告されています。こちらも血圧が高い79名(米国在住54名、カナダ在住25名)の成人に同じ量のサプリを8週間投与しています。この研究は、2008年のアジア人の研究結果が再現できるか、他の人種でも調べた、という内容の研究ですので、試験デザインはほぼ同じです。その結果、拡張期血圧は有意に低下、収縮期も低下する傾向を認めましたが、興味深いことに男性では効果が高いのに対し、女性ではなぜか効果が低いという結果でした。残念ながら2008年の台湾人での研究では、男女別に解析されていないので、この血圧降下作用の性差については、アジア人ではわかりませんが、全体としてみれば臨床研究の結果から血圧降下作用もある程度期待できそうな感じです。血圧降下の機序について、2008年の臨床研究では、レニン活性の有意な低下を上げていますが、2011年のBiol Pharm Bullでは、高血圧モデルラットを用いた研究で、未消化のナットウキナーゼによる血漿フィブリノーゲン切断による血液粘度減少と、ナットウキナーゼの消化断片による血漿アンジオテンシンIIレベルの低下によるのではないかと考察されています。

2018年05月25日