研究室

衛生代謝化学[研究者の方向け]

主な研究テーマ

薬物代謝酵素の構造と機能に関する比較生化学的研究

  1. 光学活性医薬品の立体選択的代謝反応の機構解明
  2. 霊長類の薬物代謝酵素の比較生化学
  3. 生体異物の代謝と毒性発現における薬物代謝酵素の遺伝子多型性の意義
  4. UDP-グルクロン酸転移酵素の発現制御メカニズム

研究の概要

医薬品を初めとする様々な化学物質は、それ自身毒性を示すものが生体内で代謝物に変換されることで解毒される場合と、それ自身では毒性が低いものの、生体内変換を受けて様々な毒性を示すようになる場合がある。いずれのケースにおいても、薬物代謝酵素がその毒性発現に大きな役割を担うことになる。

当研究室では薬物代謝酵素として、主にシトクロムP450 (CYP) とUDP-グルクロン酸転移酵素 (UGT) の構造と機能について様々な角度から検討している。これらの薬物代謝酵素は分子多様性を示し、肝臓や消化管に様々な分子種が発現している。さらにこれらCYPやUGTタンパク質をコードする遺伝子上に様々な一塩基多型 (SNP) が生じて、遺伝子機能が変化し、その結果発現タンパク質の発現効率あるいは発現タンパク質の機能が影響を受ける、遺伝子多型性が認められる。我々は、遺伝子工学的手法を駆使して薬物代謝酵素の遺伝子多型と発現酵素タンパク質の機能との関係を検討し、薬物代謝酵素の遺伝子多型性と医薬品を中心とした化学物質の毒性発現の個体差の関連性について追究している。

我々の研究では、主要な実験動物としてサル(カニクイザル、アカゲザル、マーモセット等)を用いている。ヒトと同じ霊長類に属するサルは系統学的にヒトに近く、ヒトCYPやUGT分子種の相同酵素を有しており、アミノ酸配列も90〜95%程度の相同性を示す。我々はサルの持つ相同酵素をヒト酵素の変異体と見立てて、具にサル酵素とヒト酵素の性質を比較し、基質特異性や活性に顕著な相違があれば、それは5〜10%のアミノ酸残基の相違に起因すると考えられることから、その種差を惹起する原因となるアミノ酸残基、あるいは部分構造の違いを同定しその役割を探ることにより、分子レベルでの酵素反応メカニズム解明を目指している。

最近の成果

カニクイザルやマーモセットの肝臓及び小腸のミクロゾーム画分による光学活性医薬品プロプラノロールの位置並びに立体選択的酸化反応をヒトと比較検討し、特に小腸において、ヒトとサルの間に顕著な違いが観察された。またカニクイザルとヒトの肝細胞培養系における薬物代謝酵素並びにその発現制御を行う核内受容体のmRNAレベルに対する種々の誘導剤の影響を検討したところ、かなりの部分一致するものの、CYP1A1とCYP1A2 mRNAレベルがヒトとサルの間で逆転するなど、明確な種差も認められた。

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最近の主な発表論文

  1. T. Shimizudani, K, Nagaoka, N. Hanioka, S. Yamano, S. Narimatsu, Comparative study of the oxidation of propranolol enantiomers in hepatic and small intestinal microsomes from cynomolgus and marmoset monkeys. Chem. Biol. Interact., 183, 67-78 (2010).
  2. S. Narimatsu, D. Kazamori, K. Masuda, T. Katsu, Y. Funae, S. Naito, H. Nakura, S. Yamano and N. Hanioka. The mechanism causing the difference in kinetic properties between rat CYP2D4 and human CYP2D6 in the oxidation of dextromethorphan and bufuralol. Biochem. Pharmacol., 29, 77, 920-931 (2009).
  3. M. Nishimura, A. Koeda, H. Morikawa, T. Satoh, S. Narimatsu, S. Naito, Tissue-specific mRNA expression profiles of drug-metabolizing enzymes and transporters in the cynomolgus monkey. Drug Metab. Pharmacokinet., 23, 45-53 (2008).

教員紹介

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成松 鎭雄
Shizuo NARIMATSU
専門分野 薬物代謝学
所属学会 日本薬学会、日本薬物動態学会、International Society for the Study of Xenobiotics (ISSX)、American Society of Pharmacological Therapeutics (ASPET)

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