研究室

製剤設計評価学(黒崎 勇二)[研究者の方向け]

主な研究テーマ

A.薬物療法の最適化を支援する局所薬物動態制御と機能性製剤の開発

  1. 脂肪乳剤を用いた微小透析(マイクロダイアリシス)の薬物の局所動態評価法への応用
  2. 筋肉内での薬物の拡散・滞留特性に影響を与える因子の解析
  3. 新規被覆型含水ゲル基剤の設計と上皮欠損皮膚での湿潤保持療法への応用
  4. 薬効発現強度の速度論的解析による局所PK/PD解析

B.薬物療法の最適化ならびに個別化

  1. 重篤病症例における薬物投与設計
  2. 臨床薬物速度論に基づくテーラーメード薬物療法の推進
  3. 薬物動態と薬効の個体間変動に関する製剤学的・生物学的因子の解明

研究の概要

薬物療法を個々の患者ニーズに合わせた精度の高い科学的な薬物療法として実践するためには,DDS医薬品など,体内における薬物の時間的・空間的な制御を可能にする特殊な機能を有する医薬品の開発(ハード面)と,個々の病態に対応する個別化された投与計画の立案(ソフト面)が必要となります。

DDS医薬品開発では,薬効に直結する作用部位局所における遊離形薬物の動態評価とその解析は必須となりますが,現状では,血漿中濃度など全身動態を基準にした評価で開発がなされています。薬物療法設計学分野では,モニタリング特性を改善した微小透析法(Lipo-MD法)を独自に考案し,局所送達型製剤(経皮吸収型医薬品や埋め込み型放出制御製剤)を適用した時の薬物の局所動態の評価と薬物の局所滞留特性の支配因子について研究しています。また,褥瘡や火傷など,皮膚組織の壊死による広範囲に及ぶ表皮の欠損に対する新規外用基剤として,浸出液を管理する湿潤保持療法にも対応する「被覆型含水ゲルシート」の開発も手がけています。さらに,薬物の有効性と安全性の向上につながる薬物療法の最適化および個別化の理論や、臨床における医療的な種々の要請に合致する投与計画の構築について、岡山大学病院や愛媛大学病院と連携して研究を進めています。

薬物療法の最適化ならびに個別化においては、重篤病症例において薬物体内動態が変動すること、加えて、薬剤に対する生体側、特に中枢神経系の感受性が亢進することが報告されていることから(図)、薬物動態と薬効の両面より薬物治療に影響を与える因子の解明を行っています。具体的には、重症腎疾患を対象に、腎機能低下に伴う肝臓の薬物代謝活性の変動評価を行い、薬物動態変動幅の定量的把握を行うと共に変動メカニズムの解明を進めています。また、中枢神経系の感受性亢進メカニズムの解明に向けて、脈絡叢上皮の電解質輸送担体の機能と腎不全の関係を解析しています。

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最近の成果

1.ケトプロフェン貼付剤適用後に紫外線照射すると皮膚内にケトプロフェン光分解物が産生すること,この光分解物の産生は抗酸化物質の併用により抑制できることをLipo-MD法の応用により明らかにしました。

2.筋肉内に定速投与された薬物の筋肉内での側方への拡散動態をマイクロダイアリシスの応用により明らかにしました(図)。

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3.重症腎不全時における薬物動態の変動性の解析と変動機構を解明し,これらの知見に基づく薬物の至適投与設計について提示しました。

4.腎機能低下に伴って脈絡叢における電解質輸送機能が変調することを見出しました(図)。

5.臨床データの遡及的およびコホート的収集解析を行い,TDMデータに基づく乳幼児のバルプロ酸の至適投与設計法を開発し,発表しました。

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最近の主な発表論文

  1. Efficacy of peritoneal dialysis of tolbutamide in rats under conditions of the plasma unbound fraction being increased. Takashi Makita, Tetsuya Aiba, Yuki Izuwa, Yukiko Komori, Hiromu Kawasaki and Yuji Kurosaki (2009) Biopharm. Drug Dispos., 30 (1), 1-8.
  2. Poor applicability of estimation method for adults to calculate unbound serum concentrations of valproic acid in epileptic neonates and infants. S. Ueshimna, T. Aiba, N. Ishikawa, T. Sato, H. Kawasaki, Y. Kurosaki, Y. Ohtsuka and T. Sendo (2009) J. Clin. Pharm. Ther., 34 (4), 415-422.
  3. Comparative study of increased plasma quinidine concentration in rats with glycerol- and cisplatin-induced acute renal failure. Yuki Izuwa, Jun-ichi Kusaba, Mizuki Horiuchi, Tetsuya Aiba, Hiromu Kawaki and Yuji Kurosaki. (2009) Drug Metab. Pharmacokinet., 24 (5), 451-457.
  4. Pharmacokinetic analysis offlomoxef in children undergoing cardiopulmonary bypass and modified ultrafiltration. Zen-ichi Masuda, Yuji Kurosaki, Kozo Ishino, Keita Yamauchi, Shunji Sano (2008) General Thracic Cardiovasular Surgery, 56 (4), 163-169.
  5. Decreased lithium disposition to cerebrospinal fluid in rats with glycerol-induced acute renal failure. R. Sakae, A. Ishikawa, T. Niso, Y. Komori, T. Aiba, H. Kawasaki, Y. Kurosaki (2008) Pharm. Res., 25 (10), 2243-2249.
  6. Evaluation of intramuscular lateral distribution profile of topically administered acetaminophen in rats. Yuji Kurosaki, Masahiro Tagawa, Akiho Omoto, Hiroshi Suito, Yukiko Komori, Hiromu Kawasaki and Tetsuya Aiba (2007) Int. J. Pharm., 343 (1-2), 190-195.

教員紹介

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黒崎 勇二
Yuji KUROSAKI
専門分野 薬剤学
所属学会 日本薬剤学会、日本薬物動態学会、日本DDS学会、日本医療薬学会、日本臨床薬理学会、日本薬学会
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合葉 哲也
Tetsuya AIBA
所属学会 日本薬剤学会、日本薬物動態学会、日本臨床薬理学会、日本医療薬学会、日本薬学会

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