研究室

免疫生物学(田中 智之)[研究者の方向け]

主な研究テーマ

マスト細胞の生理的機能の解明

  1. マスト細胞の分化、成熟機構の解明
  2. 組織マスト細胞の機能発現機構の解明
  3. IgEによるマスト細胞の機能制御機構の解明

研究の概要

マスト細胞は全身の様々な組織に分布する免疫細胞であり、これまでの研究から即時型アレルギーや炎症、寄生虫感染といった病態において重要な役割を果たすことが明らかとなっている。しかしながら、全身に分布するマスト細胞の生理的な機能が何かという問題については未だに解決されていない。マスト細胞は骨髄の造血幹細胞に由来し、その最終分化は組織へと移行してから起こると考えられている。このことはマスト細胞が周辺の微小環境の影響を受け分化することを意味しているが、マスト細胞の分布組織によるヘテロ性に着目した研究は少ない。

本研究室では、マスト細胞の分化、あるいは微小環境との相互作用に着目し、生体におけるマスト細胞の生理的機能を解明することを目標としている。マスト細胞は、抗原刺激のみならず、実に様々な刺激に応答することが知られており、このことはマスト細胞が組織におけるセンサーとしてはたらき、微小環境のホメオスタシスの維持に関わることを示唆している。貪食や抗原提示といった機能をもつ一方で、ヘルパーT細胞を上回る多彩なサイトカイン、ケモカインを産生するポテンシャルをもつマスト細胞は、大変魅力的な免疫細胞である。

最近の成果

1.マスト細胞にIgEが結合する感作の段階において、特異抗原が存在しない状況でも、マスト細胞の活性化が起こり、ヒスタミン合成が誘導されることを見いだした。これは「単量体IgE応答」と呼ばれ、高IgE血症を伴う慢性アレルギー疾患の増悪メカニズムの候補として注目されている。

2.皮膚型マスト細胞の培養モデルを開発し、この実験系を用いて網羅的な発現遺伝子変化を同定することに成功した。また、マスト細胞の成熟過程で誘導される遺伝子の一つであるCD44が、マウスの皮膚におけるマスト細胞数を制御する因子であることを明らかにした。

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最近の主な発表論文

  1. Involvement of CD44 in mast cell proliferation during terminal differentiation. Takano, H., Nakazawa, S., Shirata, N., Tamba, S., Furuta, K., Tsuchiya, S., Morimoto, K., Itano, N., Irie, A., Kimata, K., Nakayama, K., Sugimoto, Y., and Tanaka, S. (2009) Lab. Invest. 89, 446-455.
  2. Establishment of the culture model system that reflects the process of terminal differentiation of connective tissue-type mast cells. Takano, H., Nakazawa, S., Okuno, Y., Shirata, N., Tsuchiya, S., Kainoh, T., Takamatsu, S., Furuta, K., Taketomi, Y., Naito, Y., Takematsu, H., Kozutsumi, Y., Tsujimoto, G., Murakami, M., Kudo, I., Ichikawa, A., Nakayama, K., Sugimoto, Y., and Tanaka, S. (2008) FEBS Lett. 582, 1444-1450.
  3. Activation of histidine decarboxylase through post-translational cleavage by caspase-9 in a mouse mastocytoma P-815. Furuta, K., Nakayama, K., Sugimoto, Y., Ichikawa, A., and Tanaka, S. (2007) J. Biol. Chem. 282, 13438-13446.

教員紹介

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田中 智之
Satoshi TANAKA
専門分野 生化学
所属学会 日本生化学会、日本薬学会、日本薬理学会、日本免疫学会、日本ヒスタミン学会、ASBMB

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