インド研究拠点の設置

インド2 国内外で発生する新興・再興感染症に対して迅速に対応するため、2005年度に文部科学省によって「新興・再興感染症研究拠点形成プログラム」が立ち上げられ、国内の8大学及び2研究機関がアジア・アフリカ地域に研究拠点を設置し、現地研究者との共同研究及び現地での人材育成を目的とした事業を開始しました。岡山大学はインド国コルカタ市にあるNational Institute of Cholera and Enteric Diseases(NICED)内にインド感染症共同研究センター(インド研究拠点)を設置しました。さらに、2010~2014年度の「感染症研究国際ネットワーク推進プログラム」では海外研究拠点のネットワーク化が進められました。その後、日本医療研究開発機構(AMED)に事業が継続され、2015〜2019年度には、世界各国で蔓延する感染症の制御に資する基礎研究、医薬品や診断技術の開発研究、高度専門人材の育成を目的とした「感染症研究国際展開戦略プログラム」が実施され、2020年度からは「新興・再興感染症研究基盤創生事業(海外拠点研究領域)」が開始されています。

コルカタ市とNICED

コルカタ市はインド東部の西ベンガル州に位置し、国際空港やコルカタ港を有する東インド経済の中心地です。また、この地域は1,500 万人が暮らす世界でも有数の人口過密地域です。しかし、ガンジス川のデルタ地帯に位置するため、雨季になると低地部はたびたび水害を受け、衛生状態は必ずしも良いとは言えません。加えて、高温多湿な亜熱帯気候であるため、感染症が頻繁に流行しており、特にコレラ等の下痢症が多発しています。
今日世界的に流行している新型コレラ菌(エルトール・バリアント)は、コルカタ地域で発生し世界各国に伝播しました。
1998年度からの日本政府の技術協力プロジェクトを通じて、岡山大学はNICEDへの検査技術等の移転、及びインド人研究者の育成を行ってきました。インド研究拠点は、NICEDの新研究棟内に設置されており、インド研究拠点及び岡山大学の教員は、NICEDの研究用機器やスペースを自由に使用することができます。また病原体や関連する情報を共有することも可能です。

インド3 インド4 インド5

活動内容

インド6 インド研究拠点では、NICEDの研究者と協同して、メタゲノム解析を活用した下痢症の感染経路の解明、コレラ菌の発生と制御に影響を及ぼす環境因子に関する研究、コレラ菌流行株の変異・薬剤耐性・病原性に関する研究、下痢症原因微生物の感染予防と制御に関する研究を行っています。また、薬学系・医療系学生の短期インターンシップ(学生実習等)も行っており、感染症等の公衆衛生上の諸問題を国際的な視点で解決できる人材の育成に取り組んでいます。

インド研究拠点のホームページ

TOP