主な研究テーマと概要

毒性学研究室では、以下のような研究を実施しています。

◆化学物質の安全性評価手法およびリスク評価に関する研究
従来、動物を用いて評価していた毒性の動物実験代替法(動物を用いない評価法)の開発や、新しい評価技術を適用したリスク評価手法に関する研究を実施しています。現在は、化学物質の皮膚感作性の代替法として開発されたADRA(Amino acid Derivative Reactivity Assay)法のOECDガイドライン化に向けたバリデーション研究(ADRA 法はOECD TG422cとしてガイドライン化されました)や、食品安全委員会における農薬代謝物のリスク評価にin silico手法などを取り入れた新たなリスク評価指針の提案に向けた研究などを行っています。

 ◆様々な毒性のin silico評価手法の開発
化学物質の様々な毒性を化学構造やin vitroアッセイのデータから評価するため機械学習の手法などを用いた予測モデルの開発を進めています。多種多様な毒性所見について化学構造などから迅速かつ高精度で予測を行うことで医薬品開発の加速化や工業用化学物質などの安全性評価の効率化に寄与するとともに、モデル構築の過程で毒性発現への関与が示唆された化学物質の物理化学的特徴などから毒性メカニズムの解明につながることが期待されます。

◆化学物質の核内受容体を介した毒性発現メカニズムの解析とin vitro評価手法の開発
“いかに、化学物質は私たちの体に作用し、影響を与えているのか?” 内因性や外因性の脂溶性低分子に応答して様々な生体機能の調節を担う核内受容体に着目して、生体の化学物質に対する応答機構を明らかにし、得た知見を基に化学物質の安全性評価手法の開発に関する研究を実施しています。特に、“異物センサー”として機能する核内受容体の調節機序の解明に取り組んでいます。多様な化学物質に応答する生体分子自身の調節機序の詳細が明らかになれば、化学物質に対する生体応答の理解が深まり、新たな評価手法の開発へつながることが期待されます。

主な発表論文

小野 敦
ORCIDでご確認下さい。

児玉 進
ORCIDでご確認下さい。

教員紹介

  • 小野 敦/Atsushi ONO
    専門分野:毒性学、リスク評価学
    審議会委員等:厚生労働省、薬事・食品衛生審議会専門委員、食品安全委員会、農薬第一・第四専門調査会、器具・容器包装専門調査会専門委員、労働安全衛生法GLP専門家、医薬品医療機器総合機構専門委員
    所属学会:日本毒性学会 理事、日本薬学会 レギュラトリーサイエンス部会世話人、日本実験動物代替法学会 評議員、日本薬物動態学会
  • 児玉 進/Susumu KODAMA
    専門分野:分子毒性学
    所属学会:日本毒性学会、日本薬学会、日本薬物動態学会
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