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不安定なインドリルアジドの安定等価体の開発に成功

2022.02.22

精密有機合成化学分野・山城寿樹(博士課程3年)、阿部匠講師、澤田大介教授は、インドリルアジドの安定等価体（シス-3-アジド-2-メトキシインドリン、AZIN）の開発に成功しました。
アジドは反応性に富む化学種ですが、爆発性や不安定性など取り扱いの際に問題となることがあります。本研究で開発されたAZINはインドールにアジド基を組み込んだインドリルアジドの等価体として、反応性と潜在的な有用性を兼ね備えた化合物であり、室温で安定に保存できます。これをフラスコ中でルイス酸と作用させることでインドリルアジドを発生し、これを利用してインドールの三位に炭素、硫黄求核剤の導入(雑誌名1)を、インドールの二位に酸素求核剤を導入することができました(雑誌名2)。本研究で得られた知見は、これまで合成が困難なインドール誘導体の合成につながると期待されます。
本研究成果は、2021年11月16日にイギリス王立化学会の速報誌「Chemical Communications」（Q1ジャーナル、IF:6.222）、2022年2月8日にイギリス王立化学会の科学誌「Organic Chemistry Frontiers」（Q1ジャーナル、IF:5.281）に掲載されました。

雑誌名1: Chemical Communications (https://doi.org/10.1039/D1CC06033C)
題名: cis-3-Azido-2-methoxyindolines as safe and stable precursors to overcome the instability of fleeting 3-azidoindoles
著者: Toshiki Yamashiro, Takumi Abe*, Masaru Tanioka, Shinichiro Kamino, Daisuke Sawada* (*: Corresponding author)

雑誌名2: Organic Chemistry Frontiers (https://doi.org/10.1039/D2QO00048B)
題名: Synthesis of 2-monosubstituted indolin-3-ones by cine-substitution of 3-azido-2-methoxyindolines
著者: Toshiki Yamashiro, Takumi Abe*, Daisuke Sawada* (*: Corresponding author)

 （掲載日: 2022年2月22日）
（お問い合わせ: 精密有機合成化学分野　阿部 匠）