救急災害薬学とは

「救急災害薬学」は、薬学の専門知識を基礎に、救急・集中治療、災害医療や医療過疎における緊急な薬物治療、医薬品情報の提供や支援、医薬品や医療用物品の供給、患者や住民の健康管理などの医療教育や研究を主宰する臨床系の学術分野であり、関連する自然科学や社会科学など広範な学問領域を網羅します。
「救急災害薬学分野」の開設は、岡山大学が国内初となります。

受験生、在学生にひとこと

薬学部で学ぶ「基礎薬学」や「応用薬学」「臨床薬学」「社会薬学」が薬剤師の強みです。これら4つの「薬学」を基盤にした『科学的思考力』と、他の学問領域を融合する『実践力』を兼ね備えた薬剤師こそが、救急災害薬学分野が養成・輩出する薬剤師のあるべき姿だと考えます。

救急・災害共に求められるのは、医師・看護師・医療多職種をはじめ、消防・自衛隊、被災地の自治体職員など多岐に渡る関係者との「チーム医療」です。救急災害薬学分野では、「患者に寄り添い被災者の救命に尽くすゼネラリストたる薬剤師」を目標に、「薬学領域の知識を複合的に活かす柔軟な発想力」、そして「各地から参集するスタッフと積極的に協調し眼前の課題に対して使命感を持って解決する実践力」の育成を目指します。

教育内容

救急・集中治療、災害医療にとどまらず、病院・薬局・在宅をはじめ医療の第一線で活動できる薬剤師となるために、救急災害薬学分野では、下記の基礎的な薬学教育を実施します。

1.少人数による「セミナー(グルーブワーク)」
2.岡山大学病院・高度救命救急センターでの実地研修
3.岡山大学病院・総合内科(漢方外来など)での研修や共同研究
4.被災地への派遣と医療活動の支援(訓練)
5.学会での発表

上記以外にも、様々なプログラムを6年間で経験します。

6.救急・災害現場を想定した研修や訓練
7.特殊な医療環境・機材の体験研修
8.他大学など教育・研究機関での実証実験への参加や共同研究

活動

救急災害薬学分野の教員は、DMAT※1)への参加やAMDA※2)からの要請により、「西日本豪雨災害(2018年)」「熊本地震(2016年)」「東日本大震災(2011年)」などで、実際に被災地での医療支援活動を行っています。

1 DMATDisaster Medical Assistance Team:発災後48時間以内に活動を開始し、72時間で撤収を検討する超急性期の災害医療支援を行うチーム
2 AMDAThe Association of Medical Doctors of Asia:岡山市に本部をおく医療・保健衛生分野を中心とする緊急人道支援活動を展開するNPO法人

こんなことを研究しています

臨床薬学から社会薬学に至る「救急薬学領域」、薬学系以外の学問領域も視野に入れた「災害薬学領域」、薬剤師活動の円滑実施と品質向上に資する「臨床ICT薬学」の3つの領域を基本に、「救急災害薬学」の確立と発展を目標とした幅広い研究活動を展開しています。
また、「XR:仮想現実技術を活用した災害地での薬剤師活動習得に関わる研究」など、先端テクノロジーを積極的に活用した研究も進めています。

※「広域災害における薬剤師活動に須要な無線通信の統合的提供、および医療ICTの円滑運用に関する研究」と「被災地での薬剤師活動を遠隔支援するタスクシフト/タスクシェアに関する研究」のイメージ図

教員紹介

  • 名倉 弘哲/Hironori NAKURA
    専門分野:救急薬学、災害薬学、薬物代謝学、医療薬学

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