こんなことを研究しています

植物からヒトにおいて,生体の恒常性はホルモンなどによって巧妙に維持されていることはご存知と思います.実はホルモン以外にも,生体内で発生するガスも大切な働きがあることが知られています.例えば,血圧のコントロールや記憶の形成には一酸化窒素が,バクテリアが侵入した際には活性酸素が産生されて,その増殖を防いでいます.その他には一酸化炭素や硫化水素も身体の中で作られています.これらガスはいずれも酵素によって産生され,合目的に働いています.しかし,その作用は不明な点が多く残されています.一方,脳梗塞(血管が詰まる,あるいは詰まった後に一気に再開する)の際にはケタ違いの量の一酸化窒素が発生し,神経細胞は速やかに死んでしまうことがわかっています.一方,私たちは食事に含まれている食品添加物,メチル水銀(マグロなどの大型魚類),カドミウム(お米や水),空気中に存在するPM2.5(種々の物質が結合している)を常に摂取していますが,実は一酸化窒素と同様の反応を示すことが知られています.このような外来性環境化学物質や生体内ガス(一酸化窒素)に着目して,その生理作用/病態生理作用を分子レベルで明らかにすることを目標に実験しています.このような取り組みによって病気の原因がわかるだけでなく,新たな診断法や新薬開発に向けた応用研究へ発展することを期待しています.

教員紹介

  • 上原 孝/Takashi UEHARA
    専門分野:薬理学
  • 高杉 展正/Nobumasa TAKASUGI
    専門分野:薬理学

受験生、在学生にひとこと

まだ研究をしていない皆さんに研究の醍醐味を語ることは難しいことです.敢て料理に例えて言うなら,他人が既に完成させたレシピ/材料,調理法をほんのちょっとだけ変えて,「あの料理のスパイスを別の製品に変えたら,少し味が良くなった」とか「鍋を中国製にしたら少し焦げ目がついた」などのような人のまねをした料理(後追い研究)をして満足する人もいますし,実際そういう研究者がかなり多いのも事実です.それはそれで結構ですが,どうせ研究をやるからには「新しい料理」や「新しい調理器具」を開発しなければ意味ないと個人的には思っていますし,こう書くことで自分への戒めにもしています.私の経験から,自分で打ち立てた新しい概念を証明して認められた際(論文が受理されたことを編集部からのメールで知ったとき)は,大袈裟かも知れませんが涙が出る思いでした.こんな気持ち(感動)を今度は皆さんと共有できたらと思う今日この頃です.

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