光で狙った細胞を死滅させる新技術の開発

2022.02.18

生体物理化学分野の中尾新さん(薬学科6年)、小島慧一助教、須藤雄気教授は、細胞をアルカリ化する光感受性タンパク質を用いることで、光で狙った細胞を選択的に死滅させる新技術の開発に成功しました。
くすり(薬剤)や放射線により細胞を死滅させる技術は、がん治療に広く利用されています。しかしながら、これらは目的のがん細胞だけでなく周囲の正常な細胞にも作用してしまい、投与によって毒性(副作用)を引き起こしてしまうという課題があります。本研究で開発した「光細胞死滅法」をヒトのがん治療へと適用することで、周囲の正常な細胞には毒性を与えず、狙ったがん細胞のみを死滅させることが可能な「副作用フリーの光がん治療法」の開発につながると期待されます。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業CREST「光の特性を活用した生命機能の時空間制御技術の開発と応用」研究領域における研究課題名「ファイバーレス光遺伝学による高次脳機能を支える本能機能の解明」(JPMJCR1656)、文部科学省科学研究補助金(基盤研究B: 18H0241121H02446, 新学術領域研究: 19H0472719H0539621H00404, 萌芽研究: 20K21482, 若手研究: 19K1609021K15054)などの支援を受けて行われました。

本成果は、2022年2月17日(木)(現地時間)に化学系分野のトップジャーナルであるJ. Am. Chem. Soc.誌(Q1ジャーナル, IF: 15.419, SJR: 7.12)の電子版に掲載されました。

雑誌名:J. Am. Chem. Soc. (https://doi.org/10.1021/jacs.1c12608)
研究題目: Phototriggered apoptotic cell death (PTA) using the light-driven outward proton pump rhodopsin Archaerhodopsin-3
著者: Shin Nakao, *Keiichi Kojima & *Yuki Sudo (*: Corresponding author)
プレスリリース:https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id926.html
山陽新聞:https://www.sanyonews.jp/article/1230257
共同通信:https://nordot.app/867028203383537664

 

(掲載日:2022年2月18日)
(お問い合わせ:生体物理化学分野 須藤 雄気)

TOP