博士前期課程2年の土田知貴さんが優秀発表賞を受賞(次世代を担う若手のための創薬・医療薬理シンポジウム2021)

2021.10.06

令和3年8月28日 日本薬学会薬理系薬学部会が主催する「次世代を担う若手のための創薬・医療薬理シンポジウム2021」がオンラインで開催されました.本シンポジウムにおいて,博士前期課程2年生の土田知貴さん(薬効解析学分野)が優秀発表賞を受賞しました。

発表演題:1,2-ナフトキノンによるN-アリール化を介したEGFR-Aktシグナリング活性化機構の解明

発表者:土田 知貴1, 中原 健吾1, 熊谷 嘉人2, 上原 孝11岡山大学、筑波大学)

研究内容: PM2.5などに含まれている1,2-ナフトキノン(1,2-NQ)はタンパク質システイン残基やリジン残基に共有結合する親電子性の化学物質であることが知られています。私たちは、1,2-NQの標的タンパク質探索を行ったところ、その一つとして上皮細胞成長因子(EGF)受容体の同定に成功しました。1,2-NQEGF受容体に共有結合しますが、それによって受容体の活性化が起こることを発見しました。この結合によって、下流に存在するPI 3-キナーゼやAktが活性化され、様々な生理応答を惹起させることを薬理学的研究から明らかにしました。環境化学物質である1,2-NQEGF受容体アゴニスト様活性があることを示したのはこの報告が初であり、オリジナリティの高い成果であることが認められ,受賞に至りました。EGFR-Aktシグナリングは抗細胞死効果ばかりでなくがん発症にも深く関与していることが示唆されていることから、今後は1,2-NQによる生体への作用を詳細に検討する予定です。

      

(掲載日:2021 10  6日)
(お問い合わせ:薬効解析学研究室 上原 孝)

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