博士前期課程2年生の長田祐也さんが学生発表賞を受賞(第61回 日本生物物理学会年会)

2023.12.07

 令和5年11月14日 – 16日に第61回日本生物物理学会年会が名古屋市で開催されました。博士前期課程2年生の長田祐也さん(生物物理化学分野)が口頭発表(英語)を行い、学生発表賞を受賞しました。本賞は、日本生物物理学会において、優秀は発表を行った学生会員を表彰するものです。

発表演題:
 Repertoire of visible light-sensitive opsins in the deep-sea hydrothermal vent shrimp Rimicaris hybisae
 深海エビRimicaris hybisaeは可視光感受性オプシンのレパートリーを持つ

発表者:
 Yuya Nagata,¹ Norio Miyamoto,² Keita Sato,³ Yuji Yamanaka,⁴ Yosuke Nishimura,⁵ Susumu Yoshizawa,⁶ Ken Takai,² Hideyo Ohuchi,³ Takahiro Yamashita,⁷ Yuki Sudo,³ Keiichi Kojima³
¹Grad. Sch. Med. Dent. & Pharm. Sci., Okayama Univ. ²X-STAR, JAMSTEC ³Fac. Med, Dent & Pharm Sci., Okayama Univ. ⁴Sch. Pharm. Sci., Okayama Univ. ⁵CeBN, JAMSTEC ⁶AORI, Univ. Tokyo ⁷Grad. Sch. Sci., Kyoto Univ.

研究内容:
 ヒトを含む動物の多くは外界からの光情報を利用し、視覚や概日リズムの調節といった生理機能に役立ています。体の中で光を受容する役割を担うのがオプシンと呼ばれる光受容タンパク質です。ツノナシオハラエビ類の一種であるRimicaris hybisaeは、深海数千メートルの熱水噴出孔近傍に生息していますが、そこには太陽光は全く届きません。その一方で、熱水の黒体放射に由来する微弱な可視光が存在することが知られており、深海エビR. hybisaeはそのわずかな光を感知していると考えられていました。本研究では、深海エビR. hybisaeが持つオプシンの性質を調べたところ、全てのオプシン分子が可視光をよく吸収することで、機能を発揮することが分かりました。このことから、深海エビR. hybisaeは、熱水噴出孔近傍に存在する微弱な可視光の感知に適したタイプのオプシン分子を持つことが分かり、深海でも光情報を自身の生活に役立てている可能性が示唆されました。この成果は、動物の多様な光利用機構の一端を明らかにするものとして評価されました。

(お問い合わせ:生物物理化学分野 小島 慧一)

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