マーモセットのシトクロムP450 2B6の構造と機能を解明

2013.06.18

衛生代謝化学分野の大学院生の眞弓慶(現 塩野義製薬)氏、成松鎮雄教授、埴岡伸光准教授(現 横浜薬科大学教授)らの研究成果がBiochemical Pharmacology(IF 4.725)に掲載されました。

Mayumi K, Hanioka N, Masuda K, Koeda A, Naito S, Miyata A, Narimatsu S
Biochem Pharmacol. 2013 Apr 15;85(8):1182-94. doi: 10.1016/j.bcp.2013.01.024.

シトクロムP450 2B6(CYP2B6)は、シクロホスファミドやイホスファミドなどの抗癌剤の代謝のみならず、パラチオンやクロルピリフォスなどの有機リン系農薬の代謝的活性化に関与する酵素です。ヒトのCYP2B6の構造と機能はいくつかの研究グループにより解明されていますが、ヒト代替動物として有用なマーモセットのCYP2B6についての情報はほとんどありません。本論文では、マーモセットのCYP2B6酵素をコードする遺伝子を世界で初めて単離し、その遺伝子から人工的にCYP2B6酵素を作製しました。マーモセットのCYP2B6酵素の機能は、ヒトCYP2B6とは大きく異なることを明らかにし、その酵素機能の種差は14番目と367番目のアミノ酸残基起因している可能性を示しました。本成果は、医薬品や農薬などの化学物質の安全性・毒性評価に有用な情報を与えるものと思われます。

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