骨粗鬆症治療薬ラロキシフェンの代謝とUDP-グルクロン酸転移酵素1A8の遺伝子多型の関連性を解明

2013.06.18

衛生代謝化学分野の大学院生の古川由貴(博士前期課程2年)氏、成松鎮雄教授、埴岡伸光准教授(現 横浜薬科大学教授)と国立医薬品食品衛生研究所の神野透人室長らの共同研究の成果がEuropean Journal of Pharmaceutical Sciences(IF 3.212)に掲載されました。

Kokawa Y, Kishi N, Jinno H, Tanaka-Kagawa T, Narimatsu S, Hanioka N
Eur J Pharm Sci. 2013 May 13;49(2):199-205. doi: 10.1016/j.ejps.2013.03.001.

骨粗鬆症治療薬ラロキシフェンは、主に小腸に発現しているUDP-グルクロン酸転移酵素のUGT1A8によって代謝されます。UGT1A8には遺伝子多型が存在し、これまでにアミノ酸置換を伴う2種の変異型遺伝子が同定されています。本論文では、人工的に野生型及び2種類の変異型UGT1A8酵素(A173G及びC277Y)を作製してラロキシフェンに対する代謝能をin vitro系で検討しました。いずれの変異型酵素もラロキシフェンに対する代謝プロファイルは野生型酵素とは著しく異なることを明らかにし、UGT1A8の遺伝子多型は医薬品の初回通過効果やバイオアベイラビリティの個人差の原因となる可能性を示しました。本成果は、主にUGT1A8により代謝される医薬品のオーダーメイド薬物療法に有用な情報を与えるものと思われます。 
 

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