日本薬学会第134年会において4名が学生優秀発表賞を受賞しました
2014.05.10
2014年3月27日-30日に熊本で開催された日本薬学会第134年会において、蒲生佳奈恵さん、外川奈津子さん、森岡朝美さん、小林俊貴さんの4名が学生優秀発表賞を受賞しました。
研究題目 |
ヘスペレチングルクロナイドにおける PPARγアゴニスト活性 |
発表者 |
◯蒲生佳奈恵、白木琢磨、中村加世子、脇稔、松野研司、宮地弘幸、松浦信康 |
研究内容 |
柑橘類の主成分であるヘスペリジンは,1. 血糖値降下作用があること,2. 代謝物の約85%はヘスペリジングルクロナイド(HSPG)として存在することが報告されています。本研究では,ヘスペリジンの生体内における作用機構の解明を行いました。その結果,HSPGはPPARγ アゴニスト活性を有することを見いだすとともに、前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分化誘導促進活性をも有することも明らかと致しました。更に脂肪細胞への分化誘導促進活性は、PPARγだけでなく他の因子も関与していることを提言することができました。今回の研究結果を更に推し進めることにより、脂肪細胞における新たな血糖値調節因子の発見につながることが予想されます。 |
受賞コメント |
今回、日本薬学会第134年会にて賞を頂き,これまでの研究が評価されたことを大変嬉しく思っております。これもひとえに、宮地先生、松浦先生を始め、多くの共同研究者の皆様のご指導のおかげであり、この場を借り心よりお礼申し上げます。 |
研究題目 |
血小板におけるVNUTを介したヌクレオチド蓄積機構 |
発表者 |
◯外川奈津子、日浅未来、宮地孝明、表弘志、森山芳則 |
研究内容 |
血小板の濃染顆粒内には、高濃度のADPやATPが蓄積されており、これらが開口放出されることが血液凝固の第一ステップです。しかし、顆粒内にヌクレオチドが蓄積されるメカニズムは今までわかっていませんでした。本研究では、生化学的な手法を用いて血小板を解析し、小胞型ヌクレオチドトランスポーター(VNUT)が血小板の濃染顆粒内へのヌクレオチドの蓄積を担っていることを報告しました。 |
受賞コメント |
この度、日本薬学会第134年会において、このような賞をいただけたことを大変うれしく思っております。ご指導頂いた森山芳則教授をはじめ諸先生方、ご協力頂いた当研究室室員に深く感謝申し上げます。この受賞を励みに、今後も一層研究に邁進していきたいと思います。 |
研究題目 |
潰瘍性大腸炎のための新規イメージングプローブ開発に向けた炎症関連分子の探索 |
発表者 |
◯森岡朝美、東川桂、赤田直輝、渡邊恵子、神野伸一郎、上田真史、廣村信、榎本秀一 |
研究内容 |
潰瘍性大腸炎は大腸粘膜に糜爛や潰瘍が形成される原因不明の疾患で、寛解と再燃を繰り返して長期化します。現在の診断法は侵襲性が高く、長期に及ぶモニタリングの際に患者の負担が大きくなるといった問題点があります。本研究では、PETイメージング技術を用いて潰瘍性大腸炎の病態を非侵襲的に評価することを目的とし、イメージング標的に資する炎症関連分子の探索を行いました。その結果、IL-1βの適性を見出し、IL-1βを標的とする新規プローブの合成およびPET撮像を行い、その有用性を明らかにしました。 |
受賞コメント |
日本薬学会第134年会においてこのような賞をいただき、大変嬉しく光栄に思います。また、ご指導頂きました榎本秀一教授をはじめとする諸先生方、共同研究者の皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。この受賞を励みに今後も一層研究に邁進していきたいと思います。 |
研究題目 |
アルコキシ基を有するレチノイドX受容体アゴニストの位置異性体間における体内動態差の解明とその応用 |
発表者 |
◯小林俊貴、古沢優貴、山田翔也、平野裕之、竹中文章、明日卓、佐々木崇了、松浦栄次、田井章博、加来田博貴 |
研究内容 |
経口投与された医薬品が薬効を発揮するためには、消化管から吸収され、血液に移り、体を巡ることが必要です。私たちは2型糖尿病、クローン病、乾癬などに治療効果が見られるものの、位置異性体間で血中濃度推移が全く異なる医薬候補物質を見つけました。本研究では、これら医薬候補物質の血液濃度推移に差が生じる原因をPETイメージングによって調べ、化合物の消化管吸収性と排泄量が影響していることを見出しました。 |
受賞コメント |
この度は日本薬学会第134年会においてこのような賞をいただくことができ、大変光栄に思っています。ご指導いただいた加来田博貴准教授をはじめ、研究室の方々や共同研究者の皆様に厚く御礼申し上げます。今回の受賞を励みとし、より一層精進してこれからの研究活動を行っていきたいと思います。 |