ピロリ菌が遺伝子突然変異を誘発することを発見

2015.04.30

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)の有元佐賀惠准教授らの研究グループが、胃がんの原因となるとされるヘリコバクターピロリ菌にふくまれる成分が、遺伝子に突然変異を起こすことを発見しました。

本研究成果は2015年3月24日、英国の科学誌『Mutagenesis』オンライン版で公開されました。

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)の有元佐賀惠准教授らの研究グループは、ピロリ菌成分を加えたネズミチフス菌、ならびにヒト由来の培養細胞で突然変異が起こることを発見しました。さらに、ピロリ菌成分とアルキル化剤系発がん物質の両方を加えた場合、アルキル化剤系発がん物質を単体で加えた場合よりも多くの突然変異を見出し、ピロリ菌成分がアルキル化剤系発がん物質の変異原性を増強することも分かりました。なお、同じく消化管にいる大腸菌でも同実験を行ったところ、突然変異は確認できなかったため、ピロリ菌独特の成分と考えられます。本研究成果によって、ピロリ菌の変異原性成分がピロリ菌の慢性感染による胃上皮細胞変異&胃がん発症に関与している可能性が示唆されました。

がん発症とピロリ菌感染は強い相関があること、すべてのがん細胞のDNAには突然変異があることは知られています。今後、胃上皮細胞変異と胃がん発症のメカニズムの解明が進めば、突然変異を阻害する薬の開発が見込まれ、胃がん予防につながると期待されます。

本発表は産經新聞2015年4月26日、日本経済新聞4月27日に掲載されました。

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(掲載日:2015年4月30日)
(問い合わせ先:学部長付(分子毒性科学分野) 有元佐賀惠)

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