メチル水銀による中枢神経系障害のメカニズムを解明

2021.01.22

薬効解析学分野の上原 孝教授、平岡秀樹さん(博士後期課程3年生)、野村亮輔さん(博士後期課程1年生)らの研究グループは、マウス脳内におけるメチル水銀誘発性障害部位において、神経細胞選択的に小胞体ストレスが惹起されることを初めて明らかにしました。
水俣病の原因物質として同定されたメチル水銀は神経細胞死を誘導し、脳内の特定領域を障害することが知られていますが、その詳細なメカニズムは未だ明らかになっていませんでした。当研究グループは小胞体ストレス発生を可視化する遺伝子改変マウスを用いて解析を行い、メチル水銀によって脳領域・細胞選択的に小胞体ストレスが惹起され、このシグナルが神経細胞死に連関することを見出しました。この知見は水俣病発症メカニズムの理解や新規治療法の開発に繋がることが期待されています。
なお、本研究成果は、2021年1月16日に科学誌 「Archives of Toxicology」(Q1ジャーナル、IF:5.059, SJR:1.379)に掲載されました。

#本研究は文部科学省科学研究費 基盤研究(B)、基盤研究(S)、挑戦的萌芽研究、環境省「重金属等の健康影響に関する総合的研究(水俣病に関する総合的研究)」の助成を受けて、国立水俣病総合研究センター、金沢医科大学、筑波大学との共同研究にて行われたものです。

雑誌名:Archives of Toxicology (2021)
題 名:Spatiotemporal analysis of the UPR transition induced by methylmercury in the mouse brain
著 者:Hideki Hiraoka, Ryosuke Nomura, Nobumasa Takasugi, Ryoko Akai, Takao Iwawaki, Yoshito Kumagai, Masatake Fujimura, & *Takahsi Uehara

(掲載日:2021年1月22日)
(お問い合わせ:薬効解析学分野 上原 孝)

TOP